Tsathoggua

 Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS

 

ツァトゥグァ、ツァトッグア、ツァトホッグァ、ツァソググア

 

1931年  初言及作品:H・P・ラヴクラフト「闇に囁くもの/闇にささやくもの」

1931年    言及作品:クラーク・アシュトン・スミス「サタムプラ・ゼイロスの物語/魔神ツァソググアの神殿」

1932年     登場作品:クラーク・アシュトン・スミス「土星への扉/魔道士の挽歌」

1934年     言及文書:クラーク・アシュトン・スミス"Letter to R.H.Barlow June 16th"

         登場作品:クラーク・アシュトン・スミス「七つの呪い」

1940年    言及作品:ゼリア・ビショップ/H・P・ラヴクラフト「墳丘の怪」

1945年    言及作品:H・P・ラヴクラフト/オーガスト・ダーレス「暗黒の儀式」

1983年    言及作品:ランドール・ラースン/ローイ・ホール「The Horror in the Garden」

1997年    言及文書:ロバート・M・プライス「Bat/Rachian」

2002年    登場作品:ゲーリー・メイヤーズ「The Horror Show」

2008年    登場作品:ベン・トーマス「The Menagerie」

 

別名

ゾタクワ、又はゾタックアー(Zhothaqquah,Zothoqqua,Zottskwa)                                                                    サトグワ、又はサソーグワ(Sathogwa)                                                                                                                                              サダクワ、又はサダコワ(Saddoqua,Sadoqua) 

クラーク・アシュトン・スミスの創造したゾタクァツァトゥグァが後で一つに纏められて出来上がった古きものです。                                                                                       ゾタクァはナマケモノの様な体形に蝙蝠の翼を持ち眠そうな顔をした滝口順平さんの声で喋りそうな神、ツァトゥグァは蟾蜍の姿をした神、と云う特徴があるのですが、この神の特徴として口にされる”ユーモラス”はどうもゾタクァの方の特徴の様です。そして、ツァトゥグァの信徒だと云われている魔道士エイボン(Eibon)が崇めていたのはゾタクァの方でした。しかし、早いうちにこのゾタクァツァトゥグァの別名となり、両者はツァトゥグァに統合されたのです。

ツァトゥグァスミスの創造したものですが、どうやらスミスはこの神を作品の発表前にラヴクラフトに知らせていたようです。ここでラヴクラフトは遊びました。遊んだのはWeird Talesの1931年8月号に掲載された「闇に囁くもの」(The Whisoerer in Darkness)での事です。様々なもの達の名前を並べ立てた時に(ハワードブラン・マク・モーン(Bran Mak Morn)からブランの名前まで入れています)ツァトゥグァの名前も紛れ込ませたのです。一方、スミスの手に依るツァトゥグァの名前を扱った「サタムプラ・ゼイロスの物語」(The Tale of Satampra Zeiros)Weird Talesの1931年11月号の掲載となり、偶然にもラヴクラフトの書いたものの方が先に世に出る事となりました。ゾタクァとしてはStrange Storiesの1932年1月号に掲載された魔道士エイボンイホウンデー(Yhoundeh)の神官モルギ(Morghi)の土星珍道中を扱った「魔道士エイボン」(The Door to Saturn)ですが、ツァトゥグァとして作品内に登場するのはWeird Talesの1934年10月号に掲載された「七つの呪い」(The Seven Geases)なのです。ここに登場するツァトゥグァは、肉食ではあるらしいのですが(会話から推測し人間を食する事もあるらしい)のですが、野蛮ではなく怠惰でもなく比較的真面目で礼儀正しい神です。反面、ここでは彼の個性は今ひとつ掴めません。ゾタクァはいち早く個性が出来ていたのに対し、ツァトゥグァは個性が今ひとつ掴めない神であるとも言えました。そして、スミスロバート・H・バーロウ(Robert H Baelow)に宛てて書いた書簡内容を元にフランシス・T・レイニー(Francis T Raney)「The Family Tree of the Gods」と名付け同人誌Acolyteの1944年夏季号に掲載した、スミスの遊び心に満ちたツァトゥグァ(この時点で、スミスツァトゥグァゾタクァを既に統合していました)の系図と地球に来る迄の経緯を語った文書は、後にバーロウ宛の続きの書簡と合わせて「From the Parchments of Pnom」としてロバート・M・プライス(Robert M Price)教授が、ツァトゥグァをテーマに編んだアンソロジー「Tsathoggua Cycle」スミスの作品として収録されています。                       又、同書において、ツァトゥグァゾタクァの差異を、編者のプライス教授自身が序文として書いた「Bat/Rachian」の中で論じています。

最終的に「From the Parchments of Pnom」として纏められたスミスの文書のお蔭で、ツァトゥグァは古きものの中でも家族関係(?)がよく判っている方です。スミスに依れば、母は暗黒星ゾス(Zoth)から発生したイクナグンニスススズ(Ycnagnnisssz)から生まれたズスティルゼームグニ(Zstylzhemgni)、父はアザトース(Azathoth)から生まれた両性具有のクグサクスクルス(Cxaxukluth)が自ら受精して生み落としたギーズグス(Ghizguth)で、ギーズグスの弟としてはフジウルクォイグムンズハー(Hziulquoigmnzhah)が居ます。又、トゥルー(Thlu)は従兄弟だとノム(Pnom)は語っています。トゥルークトゥルー(Cthulhu)の別名です。

ツァトゥグァの妻については名前が二転三転しています。スミスは文中でその名がクーシャクス(Chushax)、又はジシャイク(Zishaik)であるらしいとノムに語らせていますが、実際にAcolyteの1944年夏季号に掲載された系図では妻がシャタク(Shathak)となっているのです。全てが同一存在である可能性もありますが、ツァトゥグァの妻が三人居る可能性もあると想います。なお、彼女、もしくは彼女たちの誰かがツァトゥグァとの間に息子のズヴィルポグーア(Zvilpogghua)を生んでいます。

 

 

又、ランドール・ラースン(Randall Larson)ローイ・ホール(Loay Hall)が同人誌Eldrich Talesの9号に発表した「The Horror in the Garden」では、ツァトゥグァには召使役の生物たちがおり、そのうちの一体はヤダス(Yadath)と云う名前である事が明らかになっています。

割とお喋りでユーモラスな雰囲気のツァトゥグァはいじり易さもあってか、コミカルな作品に登場させられたりもしています。アンソロジー「Tsathoggua Cycle」で発表されたゲーリー・メイヤーズ(Gary Myers)「Horror Show」はホラーショウを見に行こうと誘わた頭の軽い女子大生が、召還されたツァトゥグァが眼の前で女の子を一口に食べてしまう場面を見せつけられていながら造り物だと想い込んでいて、誘った方が遂にツァトゥグァの信者に勧誘し損なう話です。又、アンソロジー「Cthulhu Unbound」の1巻に発表されたベン・トーマス(Ben Thomas)「The Menagerie」では、ペットにしていたショゴス(Shoggoth)を主人公に盗まれてしまう一寸間抜けな役どころで登場しています。 

 

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ツァトゥグァスミスに依りヒューペルボリアやアヴェロワーニュで崇拝されていた事が判っている他、ゼリア・ビショップ(Zealia Bishop)の為にラヴクラフトが書き、彼の死後、Weird Talesの1940年11月号に発表された「墳丘の怪」(The Mound)では、地底世界の青いクン・ヤンにおいて、更に地下の今は無人の廃墟世界の赤いヨスで探検隊が発見して持ち帰ったツァトゥグァ信仰が一時期広まったものの、ヨスより地下の暗黒のン・カイでツァトゥグァの彫像の近くに黒い粘液状の無定形(不定形)生物たちが確認され、以後、ツァトゥグァ信仰は途絶えたと云う事が語られています。なお、この無定形生物は「サタムプラ・ゼイロスの物語」に登場したものと同種のものと考えられている様で、今日ではツァトゥグァの落とし仔(Formless Spawn)たちと呼ばれています。一応、ツァトゥグァの子孫らしいのですが、正式な奥さん(?)との間には前述のズヴィルポグーアしか子供が居なかったらしいので、別な生物との間に子孫をもうけたのか、それとも分裂増殖でもしたのか、その辺りは不明です。又、亜人間であるヴーアミ(Voormi)族もツァトゥグァの子孫の様です。