Tulzscha

Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS

 

トゥルスチャ

 

1925年  初登場作品:ハワード・フィリップス・ラヴクラフト「魔宴/祝祭/暗黒の秘儀」

1997年    言及作品:ジョン・R・フルツ/ジョナサン・バーンズ「Wizards of Hyperborea」

 

生きている緑色の炎で、外なる神とされています。

ラヴクラフトがWeird Talesの1925年1月号に発表した「魔宴」(The Festival)では、キングスポートの地下でユールの日に行われる奇怪な儀式が語られています。そこに出現していた「不気味な緑色がかった炎の柱」(大瀧啓裕訳)こそが、アザトース(Azathoth)に仕える生きた炎だったとテーブルトークRPGのサプリメント「H.P.Lovecraft's Kingsport」ケヴィン・A・ロス(Kevin A Ross)が設定したものです。柱状になっているのは惑星上での事で、アザトースの宮廷で他の外なる神達と共に踊っている時は緑色の球状の形態をとります。                          炎と云いながらも熱は無い様で「冷然とした炎の腐りきった輝き」(大瀧啓裕訳)と云う描写から、感じ取れるのが冷たさと腐敗と云う実に特異な炎である事が判ります。

ラヴクラフトの「魔宴」はネクロノミコンに関する記述もあり、クトゥルー神話とされていますが、この儀式の際、不定形のフルート奏者が二体登場しており、これ等は後にダーレスが書いた「闇に棲みつくもの」(The Dweller in Darkness)ナイアルラトホテツプ(Nyarlathotep)の脇に配置された生物達と同じ存在の様です。そこから考えると、この炎の正体は(炎と云っても、熱を感じさせる輝きではないので)ナイアルラトホテップでもおかしくなかったのですが(ダーレスはその積りだったのではないでしょうか。何しろ熱を感じさせない冷たい腐った炎なのですから)、わざわざ新しい神として配置されたのです。

余談ですが、自我を持つ緑色の炎と云われて連想するのはアメコミのスーパーヒーロー・グリーンランターンです。このヒーローについては鎌田三平氏が執筆されていたSFマガジンのコラムで紹介された事がありますが、その際、途中で設定が大きく変更され、それまでの設定の方はパラレルワールドの別地球の存在にされた(実はザ・フラッシュなど他のヒーローも同様でした)と説明されていました。今日のグリーンランターンは宇宙をまたにかけて活躍するヒーローですが、「それまでの設定」のグリーンランターンは、「アラジンの魔法のランプ」を下敷きにしていました。「アラジンの魔法のランプ」の話の元になった緑の炎に救われた主人公は鉄道員が持つランターンにその炎を入れ、その炎から力を貰ってヒーローとして活躍していた・・・と云うものでした。このヒーローが誕生したのは1940年前後ですし、後にクトゥルー神話作家のフランク・ベルナップ・ロング(Frank Belknap Long)も脚本に参加していたと云う事ですし、或いはラヴクラフトの「魔宴」の影響があったのかも知れません。

 

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