Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS
大いなる無名の者、大いなる無名者、大無名者、
マグナム・イノミナンダム、マグナム・イノミナンドゥム、
マグナム・インノミナンドゥム
別名 無名の霧(The Nameless Mist)
1927年 初言及文書:H・P・ラヴクラフト ”Letter to Frank Belknap Long Dec1927”
1927年 言及文書:H・P・ラヴクラフト ”バーナード・オースティン・ドゥワイア宛書簡”
1931年 言及作品:H・P・ラヴクラフト「闇に囁くもの」
1933年 言及文書:H・P・ラヴクラフト ”ジェームズ・F・モートン宛書簡”
1935年 言及作品:ロバート・ブロック「星から訪れたもの/妖蛆の秘密」
1976年 言及作品:フリッツ・ライバー「The Terror from the Depths」
1988年 言及作品:リン・カーター「The Shadow from the Stars」
1997年 言及作品:ダン・クローア「Twilight of the Elder Gods」
この存在は当初、ラヴクラフトが知人宛の書簡に書いていたもののようです。ロング宛の書簡の内容は未読につき不明ですが、バーナード・オースティン宛の書簡では、夢に見た古代ローマ時代の話を一本書いており、そこでミリ=ニグリと云う名前らしい「黒きものども」(大瀧啓裕訳)についても言及しており「夢のなかでは、彼らの神はマグナム・イノミナンドゥム・・・・・・大いなる名状しがたきもの・・・・・・と呼ばれており」とも書いています。このミリ=ニグリはチャウグナル・ファウグンに仕える種族なのですが、ラヴクラフトがロングに書いた書簡が元でロングが使用する事になったのでしょう。しかし、その経緯を知らずこの書簡だけ読むと、まるで、この存在がチャウグナル・ファウグンであるかの様に見えてしまいます。そしてラヴクラフト自身はと云うと、この名前をWeird Talesの1931年8月号に発表したSF中篇「闇に囁くもの」(The Whisperer in Darkness)の中で名前のみ出していますが、何であるのかは語っていません。
ところが、Weird Talesの1935年9月号に掲載されたロバート・ブロック(Robert Bloch)がラヴクラフトの許可の下にラヴクラフトをモデルにした人物を作中で惨殺した「星から訪れたもの」(The Shambler from the Stars)の中で、ブロックの創造した「妖蛆の秘密」(Mysteries of the Worm)中で、星から見えない魔物を召喚した時の呪文の中にこの名があるのです。しかし、この時、出現した吸血の透明魔物との関係は不明です。
最後にこの存在を半ば強引に何であるのか特定したのはリン・カーター(Lin Carter)でした。1988年の2月に癌で他界したこの人物には生前書き溜めていた未発表作品が多く、それらの幾つかが、カーターの後継者にして彼の遺産管理人たるロバート・M・プライス(Robert M Price)教授が発行する同人誌Crypt of Cthulhu54号(リン・カーター追悼号)に発表されました。そのうちの一作「The Shadow from the Stars」の中で、カーターはこの存在と、ラヴクラフトがアザトース(Azathoth)から生まれヨグ=ソトース(Yog-Sothoth)を産んだとしていた「無名の霧」(The Nameless Mist)と同一存在であるとしたのです。この「無名の霧」はラヴクラフトが1933年にジェームズ・F・モートン宛の書簡に書いているもので、この書簡中には本当は「大いなる無名者」については何も書かれていないのですが、カーターが両者を同一存在とした為、言及文書として上に挙げておきました。 と云う事で、何だか判らないのは相変わらずなのですが、それでもアザトースから誕生しヨグ=ソトースを産んだ存在らしい事だけは、これで判りました。
Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS