Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS
ロイガー
ツァール
1932年 初登場(ロイガーのみ)作品:オーガスト・ダーレス/マーク・スコラー「潜伏するもの」
1940年 登場(ロイガーのみ)作品:オーガスト・ダーレス「サンドウィン館の怪」
1976年 言及作品:リン・カーター「Zoth-Ommog」
呼称
忌まわしき双子
双子の古きものですが、いつも活躍(?)するのはロイガーの方で、双子の片割れでありながらツァールの方は影が薄い存在です。
暗緑色の巨大な無脊椎生物で、緑色に輝く目と幾つもの長い触腕を備えています。
オーガスト・ダーレス(Augast Derleth)が友人のマーク・スコラー(Mark Scholoer)を抱き込んで共同で書き上げた作品のうちの一作で、Weird Talesの1932年8月号に掲載された「潜伏するもの」(Lair of Star Spawn)では、ビルマの山岳地帯に隠れる禁断の廃都アラオザルの双子は地下洞窟の奥に一族と共に古き神達に依って幽閉されており、エ=ポオ(E-Poh)率いるトゥチョ=トゥチョ(Tcho-Tcho)人達に仕えられていました。もっとも姿を見せたのはロイガー(と想われる)一体だけで、エ=ポオにテレパシーで語りかけるのもロイガーのみでした。逆に云うとツァールが果たして本当にロイガーと共に居たのかはっきりしていないのです。
ダーレスがWeird Talesの1940年11月号に発表した「サンドウィン館の怪」(The Sandwin Compact)ではロイガーは体をばらばらに出来るとあります。それでも洞窟に幽閉状態で脱出口を探していたと云うのは、洞窟の周囲に脱出を妨げる封印か何かが張り巡らされていたものと想われますが、それにしても「潜伏するもの」は謎の多い作品です。終盤、ロイガーが脱出しようとしている事を知って、作中でGreat Old One、elder god、Ancient Oneと三通りの名で呼ばれている古き神がベテルギウスより星の戦士(Star-Warrior)の軍勢を引き連れて飛来し攻撃を加えていますが、何で今になって・・・と云う感じがあります。幽閉されても懲りなかったから滅ぼそうとしたのかな、とも想えるのですがその辺りは判りません。そして後に発見された巨大無脊椎動物の死体は一体だけなのです。主人公が見たロイガーらしきこの死体は、しかしロイガーではありません。その後、「サンドウィン館の怪」にもロイガーは登場し、体をばらばらにして館に侵入すると云う芸の細かい所を見せています。それならば何の死体かと云うと・・・三つ可能性があります。一つ目はロイガーは一部が逃げ去ったものの、攻撃で体の死滅した部分を切り捨てており、これが発見された死体の正体だったと云うもの。二つ目は、ロイガーではなくツァールの死体だったと云うもの。三つ目はロイガーとツァールには落とし仔とでも云うべきもの達が居て、その一体だったと云うもの。いずれにせよ、ロイガーはこの事件で死んでおらず、それどころか解放されたと考えられます。幽閉場所である洞窟は古き神とその軍勢に依って破壊されたのですから、そこで止めを刺されていなければ自由になったと考えられる訳です。つまり、ロイガーを封印から解いたのは古き神のミスに依ります。
さて、「サンドウィン館の怪」で披露されたロイガーの特技ですが、作中、イタカ(Ithaqua)やヨグ=ソトース(Yog-Sothoth)やクトゥルー(Cthulhu)ですら恐れなかった人物がロイガーだけは恐れたので、体をばらばらにして侵入出来るのはロイガーだけの能力と考えられます。このロイガーの能力はイメージとしては、さいとうたかをの漫画「バロム1」に登場する脳だけのサイボーグ種族ドルゲの肉体の持つ能力と同じものでしょう。後に原作とは大幅に設定を変えて特撮テレビドラマ化された作品ですが、漫画のドルゲは巨大な空飛ぶ円盤が本体で、円盤は乗り物ではなく巨大な脳を保護する金属の鎧の様なもので、脳を取り出した後と思しき肉体は黒い霧状の姿で出現します。霧が濃くなると物質に対し物理的作用をもたらす事も出来ますが、逃げる時には黒い霧状の体が大気中に拡散して姿を消します。分子レベルで体を分解出来ると云う訳です。ロイガーも同様なのでしょう。そしてこれが、ロイガーが恐れられる要因なのです。ヨグ=ソトースなどは液体にも気体にもなれますが、おそらく気体レベルでも分子一つ一つを大気中に拡散させる事は出来ないのでしょう。 こう考えると、ロイガーはかなり特殊な生物の様です。
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