Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS
イクナグンニスススズ
1934年 初言及文書:クラーク・アシュトン・スミス"Letter to R.H.Barlow June 16th"
2006年 言及作品:リチャード・L・ティアニー「Ycnagnnisssz」
呼称
未知なる領界の猥らな王(foul Lord of realms unknown)
クラーク・アシュトン・スミス(Clark Ashton Smith)が1934年6月16日付でR・H・バーロウ(R H Barlow)に充てた書簡の中で暗黒星ゾス(Zoth)出身の分裂生物で、ツァトゥグァ(Tsathoggua)の母ズスティルゼームグニ(Zstylzhemgni)の親としている存在です。分裂生物と云う事ですから、ズスティルゼームグニも分裂に依って産み落としたものと想われます。
後、リチャード・L・ティアニー(Lichard L Tierney)の詩「Ycnagnnisssz」では太陽の無い宙域から来たとされ、アザトース(Azathoth)に匹敵する齢の持ち主とされています。又、狂った様に黒く分裂し続けていると云う事で、ズスティルゼームグニには、どうやら多数の兄弟姉妹が居る様です。
クトゥルー神話の最初の旗振り役だったオーガスト・ダーレス(August Derleth)はあくまで小説や詩の形になった作品だけを対象に考え、ラヴクラフトが遺したメモ等には関心を持ったものの、他の書き手達のメモや書簡に書かれた事にはまるで注意を払っていませんでした。スミスがバーロウに充てた書簡の内容は後にフランシス・T・レイニー(Francis T Laney)の手で纏められ、矢張りクトゥルー神話の書き手の一人ドゥエイン・W・ライメル(Duane W Rimel)が発行していた同人誌Acolyteの1944年夏号に掲載されました。けれどもダーレスがそれを参照する事は無く(彼はラヴクラフト以外の作家のものには関心が無かったのでしょう)リン・カーター(Lin Carter)がダーレスの死後、自作に反映させました。と云っても、彼が取り込んだのは設定の中にあったクグサクスクルス(Cxzxukluth)のみで、スミスの設定全てが最初に取り込まれたのはテーブルトークRPGに依ってでしょう。
クトゥルー神話に登場する固有名詞には、しばしば何と発音すべきか戸惑ってしまう様な珍妙な名前が登場しますが、ラヴクラフトとスミスのネーミングはその筆頭でしょう。その中でもこの存在は、如何にもお遊びで楽しんで創ったと云わんばかりの名前です。アザトースと同じくらい古い存在ですし、もっと作品に反映されて良いのではないかと想うのですが、あまりこの名が使われる事は無いようです。
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