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Hydra

 Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS

 

ヒュドラ、ヒドラ、ハイドラ 

 

1936年   初言及作品:ハワード・フィリップス・ラヴクラフト「インスマウスの影/インスマスを覆う影/インスマスの影」 

 

1939年    登場作品:ヘンリー・カットナー「ヒュドラ/ハイドラ」  

1976年    言及作品:リン・カーター「Zoth-Ommog

 

この存在はテーブルトークRPGの設定の都合上、Mother HydraThe Hydraの二つの存在に分割されています。  

 

ラヴクラフトがWeird Talesに掲載して貰えず同人、いえ個人誌で発表した中篇「インスマウスを覆う影」(The Shadow Over Innsmouse)でインスマウス(Innsmouse)にあるダゴン秘密教団(Esoteric Order of Dagon)の主神の片方です。もう一方の主神である父なるダゴン(Father Dagon)に対して母なるヒュドラ(Mother Hydra)と呼ばれています。 この作品ではダゴンもヒュドラも登場していません。

この作品を発表した翌年、ラヴクラフトは急逝してしまい、ダゴン秘密教団の神については書かれずじまいでした。ところがヘンリー・カットナー(Henry Kuttner)Weird Talesの1939年4月号に「ヒュドラ」(Hydra)を発表し登場させました。

 

  

カットナーの描いた存在は、外世界に浮かぶ粘着質の灰色の海の如き、巨大な首狩り原形質状生物でした。生物の脳を餌としており、様々な生物の頭部を奪い、奪われた頭部は原形質状の身体から突き出した様に並べられます。その為、灰色の海の上に沢山の生物の頭部が生えているように見え、古代においてこの有様を見た者たちの話が伝説化したのが神話等で語られる多頭の怪物の話であり、ギリシャ神話のヒュドラであったのだと云う事なのです。ヒュドラが浮かぶ外世界はアザトース(Azathoth)の居る外世界と直接接しているので、或いはアザトースの宮廷に居る眷族の一員であるのかも知れません。 驚くべき事に、この存在には人間の崇拝者達も存在しています。彼等はヒュドラに生贄を捧げる為、1783年にセイレムで「魂の射出」(On the Sending Out of the Soul)と云う8ページの小冊子を発行しています。この小冊子の8ページ目に書かれた「アストラル体の投影」(projecting one’s astral)を試みると、その人物のアストラル体が抜け出た後の身体にヒュドラが入り込み、餌として必要な首を狩りに行くのです。狩られた首はヒュドラの帰還時に持ち去られ、脳の中身が全て絞り取られるまでヒュドラの身体に埋め込まれ生かされ思考を続けていると云うのです。今もヒュドラの崇拝者たちが現存しているのかどうかは不明です。余談ですが、この「ヒュドラ」でカットナーは後に結婚する事になるキャサリン・L・ムーア(Catherine L Moore)の創造したファロール(Pharol)の名前を出しており、彼自身そうと意図せずにファロールとノースウェスト・スミス(NorthWest Smith)世界のクトゥルー神話への取り込みを果たしてしまっています。

 

カットナーもダゴンについては言及していませんでした。けれどもラヴクラフトがこれより前にダゴン(Dagon)と云う作品の中で巨大な半魚人の怪物を登場させており、今回、「インスマウスを覆う影」に登場した深きもの(Deep One)は、その小型版の様な存在でした。結果としてダゴンは、わざわざ誰かが、その半魚人スタイルの怪獣がダゴン秘密教団の神様だとする作品を書こうともせずに、自然に決まってしまいました。でも、ヒュドラの場合は、作中でラヴクラフト作品との関連付けが行われていなかったせいもあるのか、永らく無視された状態にありました。そして、リン・カーター(Lin Carter)はアンソロジー“Disciples of Cthulhu”に寄せた「Zoth-Ommog」の中でGreat Old Oneの従属種族たるLesser Old Oneの概念を提唱、深きものもクトゥルー(Cthulhu)に仕えるLesser Old Oneであるとし、ダゴンとヒュドラはその頭領であるとしてしまいました。かくして、それまでGreat Old Oneであったダゴンは格下げとなり、又、単に大きいだけの深きものにされてしまつたのです。他にもカーターは、クトゥルー以上の存在だったナグとイェブを小神とすねる等、神々の矮小化、アザトース(Azathoth)とウボ=サスラ(Ubbo-Sathra)Elder Godの被造物であり造物主に叛旗を翻したのだと云う聖書のオマージュの如き設定の導入に依る宇宙観のスケールダウンが見られ、クトゥルー神話を整理し体系化した立役者ではありますが、功罪愛半ばすると云ったところでしょうか。もっとも、皆が受け入れ易く、又、話を作り易くなったのは確かでしょう。いずれにせよ、皆がヒュドラについて忘れている、と云うより知らずに居る間にカーター(彼も知らずに居た一人でしょう)が、巨大な女性の深きものとしてのヒュドラを出してしまい、それが皆に受け入れられてしまった訳です。それが、あっさり受け入れられたと云うのは、矢張り判り易かった事もあるのでしょう。その状態でテーブルトークRPGに取り込まれ、ますますカーターのヒュドラは浸透して行きました。ですが、カットナーのヒュドラもその後、発見され(?)テーブルトークRPGに取り込まれました。クトゥルー神話は矛盾し合う設定もごく当たり前に共存可能な世界観です。RPGでもその場合、幾つかの化身に分けて整理して整合性を図っていました。しかしヒュドラはそうは行かなかった様です。母なるヒュドラか神のままであれは幾つもの化身があっても良かったのでしょうが、カーターに依って従属種族の一員にされてしまっていた為でしょう。カーターのヒュドラの方は、そのままダゴン秘密教団で崇められいいたMother Hydra、カットナーのヒュドラはThe Hydraとされてしまいました。別にカーターのヒュドラがカットナーのヒュドラの化身であっても、Great Old Oneの化身の一体がLesser Old Oneであっても構わなかったと想うのですが・・・ナイアルラトホテップ(Nyarlathotep)なんて人間に迄、化身しているのですから。何故、ヒュドラだけ・・・? 

 

と云う事で、RPGをプレイするのでもない限り、母なるヒュドラと、首狩りヒュドラを分けて考える必要は無いでしょう。

 

 

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