The Thing from Another World

 Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS

  

 

 遊星よりの物体X 

 

1938年         登場作品:ドン・A・スチュアート「影が行く」

 

 

SF作家として、アシモフ等を育てた(アシモフの出世作「夜来る」や有名なロボット三原則は、みなキャンベルの発案)有名なジョン・W・キャンベルJr(John W Campbell Jr.)の書いたThe Thing from Another Worldドン・A・スチュアート(Don A Stuart)名義でAstounding Science Fiction1938年6月号にタイトルを変えて発表した「影が行く」(Who Goes There?)に登場する存在です。

生物的には不死身に近く、南極に不時着した円盤の乗員でしたが氷漬けになったまま仮死状態で生存していました。南極探検隊が死体と想って回収した事から復活します。この辺りは、ロバート・M・プライス(Robert M Price)教授がラヴクラフト「狂気の山脈にて」(At the Mountain of Madness)にインスパイアされたものであると指摘し、後、クトゥルー神話のテーマ別アンソロジーの一つで南極大陸アンソロジーである”Antarctica Cycle”に収録する事で、クトゥルー神話に取り込んでしまいました。

渦虫よりも強い再生力を持ち細胞の一片どころか一滴の血液からでも再生する他、他の生物の中に血液や細胞が入れば内部から侵食して行き、精神と身体を乗っ取ってしまいます。乗っ取られた生物は外見はそのままですが、危機が迫ると本来の姿に変身します。高熱や電熱に弱く、見破る手段としては採取した血液に高い熱を加える事で、その血液が逃げようと暴れれば本体が乗っ取られている事になります。試験管の中で血液が暴れ出すと同時に本体が変身するシーンは圧巻で、このシーンは、後に独逸SFの大御所作家K・H・シェール(K H Scheer)「オロスの男」(Der Mann Von Oros)でそのまま使用しています。

1951年に映画化された際、映画のタイトルが原稿時の「遊星よりの物体X」(The Thing from Another World)となりましたが、ストーリーは蘇った物体Xが、只、暴れまわり最後は放電攻撃で倒されると云うものでした。

この映画及び原作にインスパイアされたと思しき作品が横山光輝「鉄人28号」の「光る物体」です。物体Xとショゴス(Shoggoth)を掛け合わせて吸血性を持たせた様な可変生物が宇宙から飛来し人間を殺して化けますが放射能を帯びている為、ガイガーカウンターを近付ければ正体が判明すると云うもので、最後は高圧電流を受けて囚われると云うものでした。

1982年に再映画化された「遊星からの物体X」(The Thing)は、ほぼ原作通りの作品となっていますが、ラストに一味付け加えられていました。

なお、前述の”Antarctica Cycle”に収録された際には、本作はオリジナルのタイトルに戻されています。

 

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