Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS
宇宙からの色,異次元の色彩
1927年 初登場作品:ハワード・フィリップス・ラヴクラフト「異次元の色彩/宇宙からの色」
1984年 登場作品:マイケル・シェア「異時間の色彩」
ラヴクラフトがヒューゴー・ガーンズバックが発するAmazing Storiesの9月号に発表した「宇宙からの色」(The Colour out of Space)に登場する、農場に落下した隕石の中から出現したガス状の存在らしき謎の生命体を指します。創元文庫版ラヴクラフト全集の解説で、ガーンズバックの稿料が極端に安くラヴクラフトが怒った事を大瀧啓裕氏が、ガーンズバックが資金繰りに難渋していた事実を踏まえた上で憤慨気味に語っておられますが、確かに怪奇SFとしてよく出来てはいるものの、科学者達が調べる様子や、ガス状の生命体と云うアイデアを考慮した上でガーンズバックの中ではそれほど重要度は高くなかったのではないかと想われます。ガーンズバックは単なる「科学」ではなく「科学技術」を尊び、科学を基にした新しい技術が描かれるものを重宝していたのではないでしょうか。そういう意味ではラヴクラフトにはAmazing Storiesは向いていなかったものと想われます。
宇宙から飛来た謎の生命体については1978年にリュウエリン・M・カボスが「The Color from Beyond」の中でスンガク(S'ngac)であった事を匂わせています。もっとも、スンガクは菫色の存在で明らかに描写が違うのですが・・・
DAWブックスから出版されたマイケル・シェア(Michael Shea)の書き下ろし中篇「異時間の色彩」(The Color out of Time)は、或る意味ラヴクラフトの「宇宙からの色」を否定した続編です。「宇宙からの色」は事実を基にした創作であったとし、モデルになった土地と人物を登場させ、宇宙から来た存在はガス状生命体などではなく一種のエネルギー生命体で時に実体化して人を襲う・・・と云った、ラヴクラフトの神秘的な生命体ではなく、ありきたりのスプラッターな生命体にされてしまいました。なお、2003年にウイリアム・バートン(William Barton)の書いたテーブルトークRPG用シナリオの方でもガス状生命体ではなくエネルギー生命体になっている様です。
なお、米語で色彩を表すのはColorですが、古き良き英国風を尊ぶラヴクラフトは英国式にColourと綴っており、この生命体の記述に際してダニエル・ハームズ(Daniel Harms)やテーブルトークRPGの記述者達はColourの方を用いています。
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