Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS
シャンブロウ
1933年 登場作品:キャサリン・L・ムーア「シャンブロウ」
キャサリン・L・ムーア(Catheline L Moore)がWeird Talesの1933年11月号に発表したデビュー作にして怪奇スペースオペラのノースウエスト・スミス(NorthWest Smith)第一作「シャンブロウ」(Shambleau)に登場するエイリアンです。
出自は明らかではなく、太陽系外の出身の様ですが、古代から太陽系におりギリシャ神話のメドーサの元になった種族ではないかと云われています。
シャンブロウは人間に限らずおよそ太陽系の諸惑星に暮らす様々な遊星人種族にとって危険な存在ですが、危険なエイリアンとしては、従来にない二つの特徴がありました。性的な視点で美しい事と、危険の正体が快楽に依るものである事です。
外見は一見女性に見える姿をしていますが、太陽系の各遊星人とは異なり体毛がまるでなく、それでも美しい顔立ちをしています。緑色の目は細く切れ長で猫の目に似ており、頭部は髪の毛を想わせる赤い器官に覆われていますが食餌が必要な時以外はターバンの様に布で巻いて隠しています。この器官は獲物から精気を吸い取る役目を持っており、髪の毛の様に一本一本が細く伸縮自在で人体に絡みつくと対象が理性と防衛本能と肉体の制御を喪失する程の淫らな快感を与え、自由を奪ってから精気を吸い取ります。獲物は一回で死ぬ事もありますが、一回で死ななくてもこの時の快感はかなり強いものなので、中毒状態となり自ら望んで精気を吸われる様になります。近年のヴァンパイアものでは一度ヴァンパイアに血を吸われた者が、その後、快感の為に望んで血を吸われに行くなどの描写が見られるものがありますが、それと同じ事を、ムーアは戦前に描いている訳です。
又、頭部の器官が活動中のシャンブロウは、見ただけでも惹きつけられ自由を失う程の力を発揮していますが、鏡に映った姿にはそこ迄の威力は無く、鏡で位置を確認しながら光線を放てば倒せます。
あまり知られていませんが「シャンブロウ」はGreat Old Oneであるファロール(Pharol)の名が最初に登場する作品であり、その点では立派にクトゥルー神話の一作です。しかし、今のところシャンブロウ自体はクトゥルー神話に取り込まれてはいないようです。
又、「シャンブロウ」はラヴクラフトも絶賛した作品ですが、その際、彼は本作が現代の地球を舞台にしていない事が欠点だとしていたと云われており、或いは現代のアメリカ辺りを舞台にしていたら、シャンブロウの名前も何処かの作中で出していたかも知れません。
関連項目
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