Werewoman

Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS

 

狼女 

 

1938年       登場作品:キャサリン・L・ムーア「狼女/幻の狼女」 

 

 

ロバート・H・バーロウ(Robert H Barlow)が出していた同人誌Leaves2号に掲載されたノースウェスト・スミス(NorthWest on Earth)の実質第二作で番外編的な「狼女」(Werewoman)に登場します。「シャンブロウ」(Shambleau)に続けて書かれた作品だったそうですが、ボツにされ、その後で書かれた「黒い渇き」(Black Thirst)が第二作としてWeird Talesに掲載されました。

 シリーズ中、最もストーリーらしいストーリーの無い幻想風景のスケッチの様な美しく、これはこれで魅力的な作品ですが、舞台となる惑星も不明で、緑色の眼をし狼にも裸女の姿にもなる狼女達の素性もはっきりしません。傭兵として惑星に居たと思しきノースウェストは荒野をさまよう内に狼女達と遭遇し、彼自身、白い眼の人狼に変じて群れの一員として行動する様になります。惑星には滅んだ古代都市があり、そこに残る呪力で群れが半ば非現実存在となり都市が栄えていた過去への幻視行が描かれますが、呪力と狼女達とも何か関わりがありそうであるものの、関連ははっきりしません。

本作がシリーズ第二作として陽の目を見ていたら、本シリーズの作風も、又、かなり異なったものになっていたと想われますが、実際にはボツとなり「黒い渇き」が発表された事で、美と精神的な苦痛と云う耽美的なシリーズの作風が確立されたと云えるでしょう。全ては本作がWeird Talesの二代目編集長ファーンズワース・ライト(Farnsworth Wright)に依ってボツにされたお蔭なのです。ライトは採算に関する計算と俗受けするものに関する嗅覚だけは確かだったものの、新境地を切り拓く様な作品に関しては目利きどころか節穴の眼を持つ男だったらしいのですが、本作に関してはライトの両眼の節穴ぶりに乾杯!と云ったところでしょう。

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