Detailed Explanation (may be) of Gods of CTHULHU MYTHOS
フランガ
1937年 登場作品:ヘンリー・カットナー/キャサリン・L・ムーア「スターストーンを求めて」
ヘンリー・カットナー(Henry Kuttner)との合作の形で発表された「ノースウェスト・スミス」(NorthWest on Earth)商業誌作品第十作にして「ジョイリーのジレル」(Jirel of Joily)の第五作「スターストーンを求めて」(Quest of the Starstone)に登場する存在です。
ジョイリーでジレルにスターストーンを奪われ逃亡した魔法使いです。正体が人間であるのかどうかは不明です。スターストーンの中には一つの世界が封じ込められており、そこに封じられていた強力な魔法がフランガ(Franga)の力の源だった様です。フランガはジレルからスターストーンを取り戻す為、未来の火星の酒場でノースウェストとヤロール(Yarol)を雇いますが、結局、ノースウェストの機転で石は砕かれ、中に封じられていた者達は解放されます。スターストーンの中に封じられていた生物達はおそらく異次元の存在で、オウム貝の螺旋にやや似ているものの非ユークリッド幾何学的な美しい姿形の生物である様です。?結局、どう云う姿なのでしょうか?
本作はノースウェストものを店じまいにしたムーアが、要望に応えたアンコール作品で、ムーアとしてはジレルものの積りだったのかも知れません。おそらくムーアが書いたのはジレルの部分でノースウェストとヤロールの部分はムーアではなくカットナーが書いたのでしょう。ノースウェストが豊かなバリトンで「地球の緑の丘」(The Green Hill of Earth)を歌うシーンがあり、この辺りの洒落た柔らかな雰囲気もカットナー風に想われます。カットナーに較べるとムーアの作風はもっと男性的で直裁的です。なお、この歌の一節が作品内に登場するのは本作だけです。全部の歌詞が登場していないのを残念に想った訳者の仁賀克雄氏は、ハヤカワ文庫版ノースウェスト・スミスの最終巻「暗黒界の妖精」のあとがきの中で、翻訳された詩を更に補作した完全版(?)を公開されています。
余談ですが、ロバート・A・ハインライン(Robert A Heinline)のSF長編「地球の緑の丘」(The Green Hill of Earth)は、彼がこの歌のタイトルを気に入りムーアに許可を得て使ったものだそうです。
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